過敏性腸症候群

過敏性腸症候群の主な原因はストレス

過敏性腸症候群の主な原因はストレス腹痛や腹部の不快感に加えて、下痢や便秘といった便通異常を伴う状態を「過敏性腸症候群」といいます。
決して生死に関わる疾患ではありませんが「電車やバスなどのようなトイレのない場所に長時間いられない」など、QOLを大きく低下させてしまう疾患です。
発症する原因は、未だにはっきりと解明されていません。しかし近年の研究では、何らかのストレスが加わることでストレスホルモンが脳下垂体から分泌され、その刺激によって腸の運動が悪くなり、過敏性腸症候群の症状が現れるのではないかと言われています。
また、大腸などの消化管運動の異常や生活習慣の乱れなどが重なって発症するとも言われています。

過敏性腸症候群の
症状チェック!

過敏性腸症候群の症状チェック!

  • 数週間~数ヶ月にわたって、お腹の不調や痛みが起こっている
  • 下痢や便秘が数ヶ月続いている
  • 排便をすると痛みが一時的に落ち着く
  • 排便の回数が不規則
  • 便の形状が悪い時期が続いている
  • 排便しても、便が残っているような感覚がある
  • ストレスを感じると、症状がより悪化する

これらの症状でお悩みの方は、過敏性腸症候群が疑われます。

症状により「下痢型」「便秘型」「混合型」の3つの分類に
分かれます

過敏性腸症候群は、下痢型と便秘型、混合型に分かれています。

下痢型 激しい腹痛を伴った下痢(水っぽい便)が、1日に3回以上起こるタイプです。急に症状が起こるため、外出に対して恐怖心を抱くようになり、その不安やストレスからさらに症状を悪化させてしまう方も少なくありません。 若い男性に多くみられます。
便秘型 腸管のけいれんによって、便が滞ってしまうタイプです。排便時の腹痛や、強くいきまないと便が出ない、ウサギのフンみたいな小さな便が出る、残便感などの症状が現れます。女性に多くみられます。
混合型 激しい腹痛を伴った便秘と下痢を、交互に繰り返すタイプです。

過敏性腸症候群の検査

過敏性腸症候群の検査過敏性腸症候群の症状は、他の消化器疾患でも起こります。
そのため血液検査や大腸カメラ検査、エコー検査などを行い、大腸がんや潰瘍性大腸炎などの可能性を除外する必要があります。
当院では、鎮静剤や鎮痛剤を使用した苦痛のない大腸カメラ検査を行っていますので、気になる症状がある方はお気軽にご相談ください。

過敏性腸症候群の治し方

「生活習慣の改善」と「薬物療法」などを行います。

生活習慣の改善

生活習慣の改善まずは普段の生活習慣をお伺いします。睡眠不足や過度なストレス・疲労などでお悩みの方には、その改善策について、アドバイスします。またアルコールの過剰摂取や、香辛料を多く摂る食事は、症状を悪化させる可能性があるため、摂取量を減らすよう努めてください。
タバコを吸っている方は、治療を機に禁煙を始めてみましょう。

食物繊維を多く含んだ食品(バナナや海藻類、キノコ類など)は、積極的に摂取しましょう。特に便秘型の方は、腸内環境を整える効果が期待されている「乳酸菌」を摂ることをお勧めします。
下痢型の方は脱水を防ぐため、こまめに水分補給を行うことが重要です。水分を補給する際は、なるべく胃に負担をかけないよう、常温または温かい飲み物を飲むようにしてください。

適度な運動は、ストレス解消において有効だとされています。まずは軽いウォーキングから始め、少しずつ運動を習慣化していきましょう。

薬物療法

薬物療法生活習慣の改善を続けても症状が落ち着かない場合は、薬物療法による治療も、並行して行います。患者様の症状・過敏性腸症候群のタイプなどを考慮して、一人ひとりに合わせた薬を処方します。

過敏性腸症候群になった場合にお勧めの食べ物
~低FODMAP食~

近年、過敏性腸症候群の症状の悪化に、食事の内容が深く関連していることがわかってきました。FODMAPとは、小腸で吸収されにくく大腸で発酵しやすい糖質の総称で、発酵性・オリゴ糖・二糖類・単糖類・糖アルコールの英語の頭文字を合わせたものです。このFODMAPが多く含まれた「高FODMAP食品」を過度に摂取すると、腹痛や下痢、便秘などの過敏性腸症候群の症状が悪化することが報告されています。そのため、過敏性腸症候群でお悩みの方は、日頃の食生活を見直して改善してみましょう。

まずは高FODMAP食品の摂取量を減らしながら、食事日記をつけ、食事メニューとお腹の症状の変化を記録していきます。高FODMAP食品を避けても症状が改善されない場合は、食事日記を読みなおし、きちんと避けているかどうかを確認します。高FODMAP食品を避けているのにもかかわらず、症状が良くならない場合は、FODMAPが原因ではない可能性が考えられます。高FODMAP食品につきましては、下記の表から確認してください。

低FODMAP食 ・米、玄米、十割蕎麦、ビーフン、フォー
・卵、牛肉、鶏肉、豚肉、魚
・トマト、ホウレンソウ、カボチャ、ダイコン、ジャガイモなどの野菜
・木綿豆腐
・メープルシロップ
・バター、マーガリン
・緑茶、紅茶
高FODMAP食 ・パン、パスタ、うどん、ラーメンなどの小麦粉製品
・たまねぎ、アスパラガス、長ネギ、ニラ、サツマイモなどの野菜
・ソーセージ
・大豆、納豆、豆乳
・はちみつ
・牛乳、ヨーグルト
・チョコレート、アイスクリーム
・ウーロン茶

実践方法

Step1  4~6週間:高FODMAP食の摂取を制限する

治療を始めてから4~6週間の間は、高FODMAP食を徹底的に避けてください。
この期間が終わった後に、症状が改善されているかどうかを確かめていきます。
症状が改善できた場合は、高FODMAP食によって過敏性腸症候群を発症していたと判断できます。
4~6週間制限しても症状が良くならなかった場合は、FODMAP以外の原因で、過敏性腸症候群になっている可能性があります。

Step2 6週間後~:高FODMAP食の摂取量を少しずつ増やしていく

高FODMAP食品の中から、何が原因なのかを調べていく期間です。
まず、高FODMAP食を1つずつ食べてみます。食後に症状が現れないと分かった場合は、「過敏性腸症候群の原因ではない」と判断できます。

Step3 原因となるFODMAPを除いた食事を行う

過敏性腸症候群の症状を起こす食品が判明できましたら、その食品を抜いた食事メニューにしましょう。
数多くの食品を抜かなければならない場合は、栄養バランスが偏りやすくなるため、他の食品で栄養を補っていきましょう。

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