潰瘍性大腸炎の原因は
未だに不明
大腸の粘膜が慢性的な炎症を起こし、潰瘍やびらんなどが生じる難病です。炎症は直腸から連続的に口側に広がる性質があり、病変の広がりによって「直腸炎型」、「左側結腸炎型」、「全結腸炎型」の3つに分類されます。
特に20〜30代に多く見られますが、どの年代でも起こり得る疾患です。
原因はいまだによく分かっていませんが、遺伝や腸内細菌、免疫異常、食習慣などが関与していると考えられています。
潰瘍性大腸炎の
初期症状は!?症状チェック
- 下腹部の違和感
- 腹痛
- 下痢・軟便(稀に便秘も)
- 便の中に粘液や血が混じっている
- 発熱
- 体重が減る
症状で一番よくみられるのは、繰り返す下痢や血便です。初期は下痢や血便以外の症状がほとんどみられません。痔による出血と勘違いされやすいため、安易な自己判断は禁物です。
下痢が重くなると、1日に20回以上もトイレに駆け込むこともあります。さらに症状がひどくなると、発熱や腹痛、貧血、体重減少などの症状が現れます。また、腸管以外の合併症として皮膚や関節、眼、膵臓にも症状が起こることがあります。
潰瘍性大腸炎の検査
まずは問診で症状などをお伺いし、血液検査を行います。下痢や血便が持続し、発熱などを伴っている場合、まずは感染性腸炎の除外が必要です。潰瘍性大腸炎の可能性が高いと判断した際は大腸カメラ検査を行い、潰瘍性大腸炎特有の炎症の広がりや生検での特徴的な組織像がないかを調べることで、確定診断を行います。
当院では、鎮静剤や鎮痛剤を用いた苦痛のない大腸カメラ検査を行っています。気になる症状がある方はお気軽にご相談ください。
潰瘍性大腸炎の治療
薬物療法をメインに行い、粘膜の炎症を抑える治療を行います。粘膜の炎症が消失した状態(寛解期)になったら、この状態をできるだけ長く維持し、再燃を防ぐための治療を行います。
薬物療法
薬物療法は症状をコントロールし、粘膜の炎症を消失させ、再燃を防ぐために行われます。
5-ASA製薬(メサラジン・サラゾスルファピリジンなど)をはじめ、副腎皮質ステロイド薬(ブレドニゾロン)や抗TNFα受容体拮抗薬(アダリムマブ、インフリキシマブ、ゴリムマブなど)、免疫抑制薬・免疫調整薬(アザチオプリン、タクロリムス、6-メルカプトプリン、シクロスポリンなど)などの薬剤を使用していきます。
5-ASA製薬は炎症を抑えるだけでなく、再燃を予防する効果もあります。副腎皮質ステロイド薬は強力に炎症を抑えることができますが、再燃を予防する効果はありません。
薬は症状が解消しても自己判断で中断・減薬せず、医師の指示に従って服用を続けていきましょう。
外科的治療
重症で薬物療法が無効であった場合、大量出血や穿孔(せんこう:大腸に孔があく)をきたした場合、がん化した(またはその疑いがある)場合には、外科手術が行われます。大腸を全て摘出して、小腸に便をためる部分を作って肛門につなぐ方法が一般的で、肛門機能は温存します。
潰瘍性大腸炎になった場合の食事
炎症がひどい「活動期」
の食事内容
できるだけ、消化の良い食品を摂るように心がけましょう。「高エネルギー」で「高たんぱく」「低脂肪」「低残渣(ていざんさ)」の食事にしてください。
卵や大豆製品、脂肪分の少ない肉類(鶏肉など)、魚などは、高たんぱくで低脂肪なので、積極的に摂取しましょう。
避けた方がいい飲み物・食べ物
- 不溶性食物繊維が含まれている食品
- 揚げ物のような油っこい料理
- 香辛料を多く含んでいる料理
- コーヒー
- アルコール類
- 炭酸飲料
- その他冷たい飲み物
また、「一回の食事量を寛解期よりも減らす」「ゆっくり、よく噛んで食べる」ことも大切です。
炎症が落ち着いている「寛解期」の食事内容
厳しい食事制限を行う必要はありませんが、食事の栄養バランスには気を付けましょう。
寛解期でも気を付けた方がいいこと
- 暴飲暴食を避ける
- 栄養バランスの整った食事にする
- 再燃期と同じように、香辛料が多い食べ物は控える
- アルコール類は少量にする
- コーヒーは薄めのものにする
- カフェインが多く含まれたものはできるだけ控える